わたし愛用のバイクウェア

#MotoAndAuto

バイクウェアって?

バイクに乗るときは、基本的に専用のウェアが必要になるもの。

求められる重要な機能は2つで

  • ばたつかない
  • コケたときに安全

っていうのがある。

ばたつきは意外と重要で、速度がでてくるととんでもなく荒ぶっちゃうから、紐がちょっと出てるだけでも結構な怪我につながることがある。

コケたときに関しては、バイクは体むき出しで乗るものだから超重要で、主には

  • 摩擦 (熱)
  • 引き裂き
  • 衝撃
  • 貫通

の4つに耐える必要がある。

1970年代くらいだとすごくタイトな革のウェアを着るのが普通だった。 革は耐摩擦性と引き裂き強度に優れているから、バイクウェアとしてはとても良い素材。耐貫通強度も多少は高い。 構造的にも繊維だと強度を出すのが難しくて、今でも最も防御力の高いウェアは牛革。

ちなみに、ファッション用のレザージャケットとバイク用のレザージャケットでは厚みが全然違って、ファッション用だとだいたい0.4〜0.7mmくらいだけど、バイク用は1.2〜1.5mmくらい。 だからバイクのレザーウェアってめちゃくちゃ重いし硬いしで大変。 防御力よりも着やすさを重視してカンガルー革を使うこともある。グローブは牛革だとかなり厳しいのでカンガルー革が普通。

1980年代になると、繊維のウェアが登場してくる。 綿に油を染み込ませたオイルドコットンや蝋で加工したワックスドコットンなどなど。 まぁ、ここらへんのウェアが性能的に魅力的かというとそんなこともないんだけど、この時期は「革以外の選択肢が登場した」っていうことが重要。

1990年代になるとプロテクターが登場してくる。 まずはオフロード、そしてレースシーンで使われるようになるんだけど、つまりここで初めて「体に対する衝撃の緩和」っていう概念が登場してきたってことだね。

同時に化繊ウェアが普及してきた。 バイクに乗る、っていう観点だと天候や気候の変化、雨と風が課題になってくるから、こういった環境に適応するためには化繊ウェアのほうが有利。

軽くて気安くて安価、っていうことが目当てのウェアから、ゴアテックスみたいな高価で高機能な繊維を使うウェアまで色々と登場した。

その後化繊ウェアもある程度進化してきたけれど、それより大きな変化はプロテクター。 ヘルメットみたいに法的に規制されているわけではないけれど、プロテクターはだんだん当たり前になっていって、ウェアにはプロテクターが装着されるようになっていき、装着される箇所が増えていき、そしてプロテクターの規格が整理されるとともにより高性能・快適なプロテクターに改良されていった。

ちなみに、今は日本のバイク教習では肘・膝・胸のプロテクターが必須になっているけど、私が免許取ったときはまだヘルメットだけでよかった。

今ではバイクウェアに胸・背・肩・肘のプロテクターが入っているのは当たり前で、プロテクターの質もウェア選択の基準になってくるようになってる。

KOMINE

先にネタバレになっちゃうけど、今回紹介する私の現行ウェアは全部コミネ製。

バイク乗りにとって「コミネ」というのは、ちょっと特別意味を持ったメーカーなので、解説しておくね。

コミネ最大の特徴はプロテクターにある。 オンロード用プロテクターがまだ普及していない時期から充実のプロテクター製品をラインナップし、上半身全体をカバーするプロテクター製品の「フルアーマー」もあった。

オンロードでプロテクターを着用する習慣が一般的になかったから、奇異の目で見られたり、「弱虫」「臆病者」と罵られることもあったけど、安全意識の高いライダーに強く支持されるメーカーになった。

プロテクターが当たり前になった今でも、多彩なプロテクターラインナップだったり、防御力高めの充実した装備だったりでコミネらしさはだいぶ濃厚。 まだあまり一般的じゃない下半身プロテクター、脇腹・腿のプロクター、ネックブレースなど「プロテクターのコミネ」要素もまだまだある。

もうひとつが「安い」こと。 めちゃくちゃ安価っていうわけじゃないんだけど、品質と防御力がなかなか高いのにお手頃価格というコスパの良さが大きな魅力。

高級・高品質なウェアメーカーとしては日本のクシタニ、イタリアのダイネーゼ、イタリアのアルパインスターズがあるんだけど、そこらへんと比べると段違いにお安い。

そしてもうひとつ重要な要素がサイズラインナップ。

バイクウェアって結構サイズ展開が狭くて、M, Lだけっていうことも結構多い。SとXL/LLも割と少ないほうで、XL/LLはラインナップとしてはあっても生産数が少なくてすぐ売り切れる。 2XLがラインナップされているメーカーってほんと少ない。

ところがコミネはだいたいのウェアにS〜4XLのラインナップがあって、さらに多くの製品にはXS, 5XLB, 6XLBとレディースサイズ(WM, WL, WXL)があるっていうすごい広いサイズラインナップがすごい魅力的。 体格のいいライダーやおでぶライダーにはコミネは必要不可欠な存在。 レディースサイズはメンズサイズとは異なるプロテクター構成になっているのも特徴。胸部プロテクターは女性用になっているし、肩や肘のプロテクターもメンズ製品とは違うの使ってたりする。

ちょっと余談だけど、コミネのジャケットは当たり前のようにフルプロテクターなんだけど、当然ながらフルアーマーと比べると少しゆとりのあるジャケットに装備されている以上、「プロテクターがずれやすい」問題がある。 けど、実はコミネに関してはジャケットでもちゃんとプロテクターがフィットできるようになってる。これは各種ベルトやアジャスターがついてるからなんだけど、コミネ以外のウェアでも「バタつき防止のために」この手のアジャスターがついてたりするから、コミネ慣れしてない人だとジャケットをちゃんとフィットさせるのを知らなかったり忘れてたりする。

夏ジャケット

夏はバイク、という人も多いんだけど、実際は夏は相当過酷。

もちろん地域にもよるけど、35℃の炎天下でちゃんと装備つけてバイクで渋滞とか、ほんとに命に関わるし、首都高の山手トンネルなんて40℃を越え上に二酸化炭素まみれで大渋滞なので、ほんとにしゃれにならないレベルで命に関わる。

同時に、涼しくしようとするとどうしても防御力は落ちる。 防御力を落とすのは危険だけど、熱中症で意識朦朧としても危険だから、夏の装備はどうしても妥協の塊になる。

最初に買ったのはワインガードナーブランドのメッシュジャケットで、ソフトパッドが内蔵されたしっかり生地のメッシュジャケット。 このジャケットを着て転んだことは結構あるけど、割と防御力高くて痛くないのでなかなかいいジャケットではあったんだけど、しっかり生地なのでなにせ暑い。

その後私はフルアーマープロテクターを着るようになったから、それにしっかりメッシュのジャケットを組み合わせると暑すぎて耐えられなくて、ラフ&ロードのぺらっぺらのメッシュジャケットに変えた。 プロテクターにオフロードジャージっていう組み合わせで使っていたこともあるけど、涼しさはぺらっぺらメッシュジャケットのほうが上。

でもフルアーマープロテクターって耐衝撃の装備で耐摩擦の防御力がないから、ぺらっぺらですぐ破れそうなジャケットは怖いんだよね。

そして私のサイズアップに合わせて新調したのがコミネのJK-1171。

JK1171 プロテクトフルメッシュジャケット「ジモン」

ある程度しっかりしたメッシュで、フルプロテクターが内蔵できるすぐれもの。 フルプロテクターだからアーマーを着る必要がない。まぁ、アーマーほど防御力が高いわけでもないけど。

それと、プロテクターも一応エアスルーのものが装備されてるんだよね。 といっても、コミネに用意されている超軽量でめっちゃエアスルーの「エニグマ」プロテクターではないんだけど。

でもこのジャケットさ、なんで左胸のところメッシュじゃないんだろうね? 標準装備のプロテクターだと胸は大してエアスルーじゃないから大差ないかもしれないけど、胸をエニグマにしても風通らないじゃーん。

それと、このジャケットのグラフィックはプリントなんだけど、ナイロンメッシュ生地にプリントなので、めっちゃ剥がれる。

来季はJK-165にエニグマを組み合わせたものに変える予定。

夏3シーズン

メッシュジャケットは、21℃くらいになるともう寒い上に、なにせメッシュなので調整があまり効かない。

気温のレンジによっては部分メッシュという選択肢もあるんだけど、春や秋は日中と夜の寒暖差が激しい傾向にあるから、どちらかといえば調整機構を持っているほうが嬉しい。

そこで活躍するのが、薄めの防風生地と大きなエアダクトを持っていて簡単に調整できるタイプ。

MT-09に乗っているときに追加したのが、コミネのJK-5994というジャケット。

JK-5994 フルイヤーシステムジャケット

胸もそこそこ開くけど、腕が特に大きく開くのがポイント。 対応できる気温は、14〜25℃くらい。耐えられる気温は、9〜28℃くらい。

意外と対応する温度域が狭い感じがするけど、春・秋はこのジャケットがちょうどいいという期間が結構長くて、かなり活躍する。

2024年は保温インナーのJK-629を組み合わせた商品が追加されて「オールシーズン」を強調されたけど、生地が薄いので冬は無理だよ…… 

気温が20℃をまたぐくらいの時は本当に難しくて、25℃くらいあるとJK-5994でも暑いんだけど、夜になると17℃くらいまで下がるってなるとメッシュではきつい。温度だけ見ればハーフメッシュのジャケットと中に着る防風の服を用意するっていうのがいいんだけど、切り替えにウェアを脱ぐ必要があるってなると難しい。 私はどうせ脱ぎ着しないから、大きなベンチレーション持ったサマー3シーズンウェアを使う派。

そもそも3シーズンウェアの話をするべきかも。

春・秋は場所や時間帯によって気温が大きく変わるから、素早く調整しやすい機構を持っているウェアが好ましい。これが3シーズンウェア。 調整機構は基本的には空気を取り入れるベンチレーターと、インナーウェア。一部、防風フラップなんかが取り外しできるようになっているものもある。

でも何も着なくても耐えられないほど熱い夏は専用ウェアがどうしても必要なので、「真夏に使えるワイドシーズンウェア」っていうものはない。 でもって、真冬の極寒にも対応できるようなウェアだとベンチレーションをどうがんばっても25℃を越える環境には対応できないから、夏よりの高い気温にも対応できるタイプと、ベンチレーション閉じてインナーをフルでつければ冬ウェアと同等になるやつがあって、「夏3シーズン」「冬3シーズン」っていう言い方で分けられる。

ちなみに、インナーがウェアの一部になっているのは、ウェアに固定できるようにすることでズレたりしないようにするため。 あと、隙間がなくなってあったかいって面もある。

冬ウェア

私は長くクシタニのK2542 GORE-TEX All Weather Jacketというのを使ってきた。

これは、ゴアテックスのアウターにダウンインナーを組み合わせたもので、防寒ウェアという扱いではあるんだけど、基本的に対応する気温は6〜19℃くらいという、防寒ウェアとしては結構心もとないもの。

ただ、胸のところがかなり大きめに開けられるようになっていて、そのほかにも腕もインテークがある。 そして、背中に大きなダクトを持っているから、26℃くらいまではギリ耐えられるので、秋から春にかけてかなり長期間活躍できるウェアではある。

今でも使えるウェアなんだけど、私の体重増で着られなくなったので新たに追加したのがJK-598 プロテクトフルイヤージャケット。

JK-598 プロテクトフルイヤージャケット

構成的にはクシタニのウェアとすごく似てる。 胸の開きはクシタニのほうが大きいけど、腕がJK-5994と同等に開くのでより多くエアを取り入れられる。

ライナーは保温と透湿防水の2つを組み合わせられるようになっていて、電熱インナーと組み合わせることもできるから、ちゃんと冬ウェアしてる。

ライナーはかなり薄手にできてて、余裕をもったサイズなら中にダウンとかも着れる感じ。 クシタニのやつより防風まわりがかなりしっかりしていて、あったかさは上。

ちなみに、冬ウェアで使うインナーってとってももこもこしたものだから、外すとどうしてもぶかぶかになる。 この関係でオールシーズンというのは、仮に真夏を除いたとしても無理め。

本当に寒いとき用の冬ウェアは電熱が当たり前になってるけど、個人的には洗うの面倒だし電熱好きじゃないんだよね。 でも、電熱が普及したせいか、ウェアそのもので真冬向けってなくなってきてる感じ。

冬も冬で結構難しくて、東京の冬くらいならクシタニのウェアとか本当にちょうどいいし、なんなら日中はライナー外してるくらいなんだけど、氷点下になる山間部はめちゃくちゃつらい。 着込んでもなんともならないんだよね。

というか、手と足が冷えるからどうしようもないではある。 手はまだハンドルカバーという最後の手段があるけど、足はどうしようもない。

このウェアは胸部分が面ファスナーとマグネットで止まってて、マグネットがメインだから走行中でも開け閉めできるほど。これはすごくいいところ。

JK-5994もそうだけど、腕のところががぱーって開くとはいえ、停車中にできるのは「上から下に開ける」だけ。 トリプルファスナーになっているから、そういうふうに開くようにしておけば開くこと自体はできるんだけど、閉じるのは結構しっかりおさえてないといけないからグローブしたままできなくて、降りなくてもいいけど駐車する必要はある。 なので、「寒くなってきた」のときはバイク停める場所を考える必要あり。

背面の排気用のほうはなにせ背面だから、ウェアを脱がないと無理。

グローブ

結構長年愛用しているのが、FIVEのRFX1 Replica。

RFX1 Replica

グローブは操作性と防御力の問題があるから、レーシンググローブ以外を使うことは基本的になくて、真夏にはメッシュグローブを使ったりするくらい。

ただ、レーシンググローブですら操作性を確保するために防御力には妥協もあったりするくらいだから、メッシュグローブとかは「コケたら怖い」なんだよね。

冬はウィンターグローブを使うと握力がもたないから、ハンドルカバーを使ってる。

RFX1は「ようやく納得できる防御力になった」というグローブで、折りやすい細かな骨のところがカバーされていて、掌は滑って衝撃を逃がすようにスライダーがついてる。 ここらへんは今では普通のことだけど、当時は割と珍しかった。

Fiveのレーシンググローブは、損傷しやすい小指を保護するために薬指と小指がつながった構造になっているのが特徴。 乗車中はあまり気にならないけど、ものをつまんだりしようとすると「あっ」てなる。

シューズ、ブーツ

フットウェアもなんだかんだレーシングブーツしかないって感じではある。

というのも、足って大事故になりやすくて、下敷きになったり、チェーンに巻き込まれてねじ切られたりっていうことが起きる。 こういった問題に対応するってなるとどうしてもゴツくなるし、そういうのはレーシングブーツしかない感じ。

こちらも結構長く使っているのが、SIDIのVortice Air。

ヴォルティスエアー

足がねじ切られないようなスタビライザーが入った世代で、防御力は結構満足してる。

ただ装備するのも大変だし、降りて歩くのが大変すぎるから、最近は違うのも使ってる。 それがIronJiasのレトロレザーモーターサイクルブーツ XZ006。

XZ006

実はこのブーツ、トライデント買う前から持ってたんだけど、トライデントといい感じにマッチする。

このブーツも歩きやすくはないんだけど、さすがにレーシングブーツよりはだいぶマシ。

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